技術調査 / 2026-08-01 時点
LLM スタック解剖

Kimi K3 × GPT-5.6 Luna という構成

2026 年 7 月の 3 週間で、オープンウェイトのフロンティア級モデルが米国ホストに載り、商用最安ティアが 80% 値下げされ、 その翌日に対抗する超低単価モデルが投入された。「重い側をオープンウェイト、軽い側を超低単価モデル」という分業が現実的になり、 さらに軽い側で誰を選ぶかという問題が生まれている。 本ドキュメントは、その構成の中身・経済性・実装・落とし穴を一次ソースで検証したものである。

Kimi K3 — 総パラメータ 2.78 T アクティブ 104.2B / MoE 896 experts
K3 単価 (in / out) $3 / $15 1M トークンあたり・全プロバイダ横並び
Luna 単価 (in / out) $0.20 / $1.20 2026-07-30 に 80% 値下げ
DeepSeek V4 Flash 0731 単価 $0.14 / $0.28 2026-07-31 リリース・キャッシュ $0.0028
AA Intelligence Index 57 / 51 / 50 K3 / Luna / DeepSeek Flash

結論と前提の訂正

先に結論から。この構成は成立するが、よく流通している説明には事実誤認が 3 つ混ざっている。

訂正 1: DeepInfra は Kimi K3 を提供していない(2026-08-01 時点)。 deepinfra.com/moonshotai/Kimi-K3 は 404 を返し、DeepInfra 自身のブログ(2026-07-30 公開)が 「Kimi K3 is coming soon to DeepInfra」と明記している。Artificial Analysis がベンチした K3 の 10 プロバイダにも DeepInfra は不在。 DeepInfra にあるのは K2.5 / K2.6 / K2.7-Code(いずれも 256K コンテキスト)まで。 実際に K3 を米国ホストで叩けるのは Fireworks・Baseten・Modal・Makora・Wafer・Nebius・Databricks・Parasail・Together・DigitalOcean。 なお「coming soon」表明は調査の 2 日前なので、近日中に状況が変わる可能性は高い。
訂正 2: 「重い側に K3」を選ぶ理由は価格ではない。 同じ 2026-07-30 に GPT-5.6 Terra も 20% 値下げされ $2.00 / $12.00 になった。 K3($3.00 / $15.00)より入力・出力とも安く、コンテキストも同じ 1.05M である。 つまり K3 を選ぶ根拠は単価ではなく、オープンウェイトであること・重みを自分で持てること・データ主権・ベンチマークの得意分野にしかない。 ここを曖昧にしたまま「安いから K3」と説明すると、論理が通らない。
訂正 3: 「DeepSeek は Luna より 10〜18 倍安い」は二重に古い。 2026-07-31 に DeepSeek-V4-Flash-0731 が出て、軽い側の有力な対抗馬になった。ただし比較サイトが掲げる倍率は、 Luna の旧価格($1.00 / $6.00)と DeepSeek の旧価格($0.10 / $0.20)を両方使った二重に陳腐化した数字である。 現行価格(Luna $0.20 / $1.20、DeepSeek $0.14 / $0.28)で計算し直すと、入力単価差はわずか 1.43 倍、 出力 4.29 倍、3:1 ブレンドで 2.57 倍。Artificial Analysis の「タスクあたり約 60% 安い」(≒2.65 倍)と整合する。 それでも DeepSeek が安いのは事実だが、桁は違わない。詳細は 第 5 節

その上で、この構成の骨子は次のとおり。

なぜ「今」なのか

この構成が話題になったのは偶然ではなく、22 日間に 4 つの出来事が連鎖したためである。順序に意味があるので時系列で示す。

2026-07-09OpenAI
GPT-5.6 ファミリー GA Sol / Terra / Luna の 3 ティア。この時点の Luna は $1.00 / $6.00 で、まだ「安いが飛び抜けてはいない」水準だった。
2026-07-16Moonshot AI
Kimi K3 を API / アプリで公開 2.78T パラメータ・1M コンテキスト・ネイティブマルチモーダル。Artificial Analysis Intelligence Index 57 で全体 3 位に着地した。
2026-07-26 / 27Moonshot AI
オープンウェイト公開 Hugging Face moonshotai/Kimi-K3 と技術報告 arXiv:2607.24653 を同時公開。ここで米国の推論事業者が一斉にホストを開始し、「中国のサーバを叩かずにフロンティア級を使う」経路が開いた。
2026-07-30OpenAI
Luna を 80% 値下げ(Terra は 20%) $1.00 / $6.00 → $0.20 / $1.20。キャッシュヒット $0.02。補助タスク用の「捨てトークン」が事実上ほぼ無料になり、ハイブリッド構成の経済合理性が跳ね上がった。
2026-07-31DeepSeek
DeepSeek-V4-Flash-0731 を公開(Luna 値下げの翌日) MIT ライセンスのオープンウェイト。$0.14 / $0.28、キャッシュヒット $0.0028(98% 引き)。AA Intelligence Index 50 は Luna の 51 とほぼ同点で、軽い側の座を直接取りに来た。重みは同日に Hugging Face で公開され、翌日には DeepInfra / Fireworks / Parasail など米国ホストが配信を開始している。

OpenAI 自身は値下げの理由を「サービング効率の改善」と説明している。 ただし背景として、OpenRouter 上で米国エンタープライズが消費するトークンの 46% を中国系モデルが占めるという報道が同時期に出ており、 競争環境の変化を織り込んだ動きと読むメディアが多い。

ただし注意: 「Kimi K3 + GPT-5.6 Luna」という固有名のついたスタックを名指しで論じる一次コミュニティソース(X スレッド・r/LocalLLaMA・HN)は、今回の調査では確認できなかった。 観測できたのは (a) K3 と GPT-5.6 各ティアの比較記事群、(b)「フロンティアをオーケストレータに、安価ティアをワーカーに」という一般形のパターン、(c) Luna 値下げの報道、の 3 系統である。 この構成は論理的に成立するが、名前のついたムーブメントとして観測できたわけではない

Kimi K3 とは何者か

重い側 / オープンウェイト

Kimi K3

Moonshot AI · 2026-07-16 公開 / 07-27 重み公開

総パラメータ
2.78 T(アクティブ 104.2 B)
アーキテクチャ
Hybrid KDA–MLA MoE / 93 層(69 KDA + 24 MLA)
MoE 構成
routed 896 中 16 活性 + shared 2
位置符号化
NoPE(RoPE 再スケーリングなしで 1M へ外挿)
コンテキスト
1,048,576 tokens
最大出力
131,072(既定)/最大 1,048,576
モダリティ
テキスト・画像・動画(音声は非対応)
量子化
MXFP4 重み + MXFP8 活性(QAT 済み)
重みサイズ
1.56 TB(HF リポジトリ実測)
思考
常時 ON・reasoning_effort = low / high / max(既定 max)
単価
$3.00 / $0.30 cached / $15.00
ライセンス
独自 Kimi K3 License(OSI 非準拠)
1M 全域でフラット料金。長文脈サーチャージが存在しない点は GPT-5.6 系に対する明確な優位。
軽い側 / 商用最安ティア

GPT-5.6 Luna

OpenAI · 2026-07-09 GA / 07-30 値下げ

ファミリー内位置
Sol(フロンティア)> Terra > Luna
モデル ID
gpt-5.6-luna
コンテキスト
1,050,000 tokens(最大入力 922,000)
最大出力
128,000 tokens
知識カットオフ
2026-02-16
思考
reasoning_effort = none / low / medium / high / xhigh / max(既定 medium)
単価
$0.20 / $0.02 cached / $1.20
長文脈割増
>272K 入力でリクエスト全体が入力 2× / 出力 1.5×
キャッシュ書込
入力単価の 1.25×(GPT-5.6 世代から)
Batch API
50% 引き($0.10 / $0.60)
レート上限
Tier 5 で 30,000 RPM / 180M TPM
エンドポイント
Chat Completions / Responses / Batch
Tier 5 の 180M TPM は Sol・Terra(40M TPM)の 4.5 倍。「大量に捨てトークンを回す」役割の適性は単価だけでなくこの枠に由来する。

ベンチマーク上の位置

K3 は「総合ではフロンティアに一歩届かないが、特定領域では首位」という尖った形をしている。 Moonshot 自身の技術報告も、アブストラクトで “its overall performance still trails the most powerful proprietary models, namely Claude Fable 5 and GPT-5.6 Sol” と認めている。

ベンチマーク Kimi K3 GPT-5.6 Sol GPT-5.6 Luna Claude Fable 5 出所
AA Intelligence Index575951第三者計測
Terminal-Bench 2.188.388.884.788.0Moonshot 技術報告
SWE-Marathon42.035.0Moonshot 技術報告
FrontierSWE81.271.3Moonshot 技術報告
BrowseComp91.290.4Moonshot 技術報告
ProgramBench77.8Moonshot 技術報告
DeepSWE67.573.070.0Moonshot 技術報告
GPQA Diamond93.594.1Moonshot 技術報告
GDPval-AA v2 (Elo)168617361747Moonshot 技術報告
HLE-Full(ツール有)56.063.0Moonshot 技術報告
Frontend Code Arena (Elo)1679下位人間ブラインド評価
MRCR 長文脈リコール91.541.3OpenAI 公表値

読み方としては、エージェント的な長時間タスク(SWE-Marathon・FrontierSWE・BrowseComp)で K3 が勝ち、研究レベルの難問(HLE)と総合力(GDPval)でフロンティア勢に負けるという整理になる。 Frontend Code Arena で人間ブラインド評価 1 位を取っている点は、UI 生成用途では実務的に効く。

数値の扱いに注意: Moonshot 技術報告の値は自己申告であり、ハーネス依存でもある。 技術報告自身が DeepSWE について「公式リーダーボード(mini-SWE-agent harness)では 67.3」と別値を併記し、 Terminal-Bench 2.1 は全モデルで best-of-harness、SWE-Marathon は校正ブランチでの評価と注記している。 第三者による独立検証はローンチから 3〜6 週後に出揃う見込みで、2026-08-01 時点ではまだ揃っていない。

弱点とライセンス

GPT-5.6 Luna とは何者か

Luna は GPT-5.6 の 3 ティアのうち最下段で、OpenAI 公式の推奨用途は “efficient, high-volume workloads”、AWS のモデルカードではより具体的に “classification, summarization, routing, and real-time applications” とされている。 2026-07-30 の値下げでファミリー内の価格勾配が一気に開いた。

モデル入力キャッシュ入力出力AA IndexTier 5 TPM位置づけ
GPT-5.6 Sol$5.00$0.50$30.005940Mフロンティア
GPT-5.6 Terra$2.00$0.20$12.005540Mバランス
GPT-5.6 Luna$0.20$0.02$1.2051180M大量処理
参考 DeepSeek V4 Flash 0731$0.14$0.0028$0.2850非公開MIT オープンウェイト
参考 Kimi K3$3.00$0.30$15.0057オープンウェイト
参考 Claude Fable 5$10.00$1.00$50.00フロンティア

この表で目を引くのが Terra が K3 を両軸で下回っている点である。入力 $2.00 < $3.00、出力 $12.00 < $15.00 で、コンテキストも同じ 1.05M。 したがって「重い側を K3 にする」判断は、Terra ではなく K3 を選ぶ積極的な理由(オープンウェイト性・データ主権・エージェント系ベンチでの優位)を明示できて初めて成立する。

Luna の致命的な弱点: 長文脈リコール。 MRCR が 41.3%(Sol 91.5% / Terra 89.6%)。1,050,000 トークンを受け付けはするが、実際には拾えていない。 さらに >272K 入力でリクエスト全体が入力 2× / 出力 1.5× になるため、価格面でも 272K が実質的なブレークポイントになる。 Luna は「272K 以下で使う大量処理モデル」と理解するのが正しく、長文脈を投げてはいけない。
見落とされやすい課金: キャッシュ書き込み 1.25×。 GPT-5.6 世代から、キャッシュへの書き込みが素の入力単価の 1.25 倍として cache_write_tokens に別計上される(それ以前の世代には書き込み料金がなかった)。 最小 1,024 トークンから対象、TTL は 30 分固定、確実にヒットさせるには prompt_cache_key の指定が必要。 短命なプロンプトを高頻度で叩く用途では、キャッシュがむしろ割高になる。

軽い側の対抗馬 — DeepSeek V4 Flash 0731

Luna の値下げ翌日、2026-07-31 に DeepSeek が DeepSeek-V4-Flash-0731 を投入した。 アーキテクチャは 4 月版と完全に同一で、post-training をやり直しただけのリビジョンだが、 Artificial Analysis Intelligence Index は 40 → 50 と 10 ポイント上がり、Luna の 51 に 1 ポイント差まで詰めた。 自社の上位モデル V4-Pro-Preview を、公表された 9 つのエージェント/コーディングベンチすべてで上回っている。

軽い側 / MIT オープンウェイト

DeepSeek V4 Flash 0731

DeepSeek · 2026-07-31 公開(重みも同日)

総パラメータ
284 B(アクティブ 13 B)
アーキテクチャ
疎 MoE / 43 層 / routed 256 + shared 1
コンテキスト
1,048,576 tokens
最大出力
384,000 tokens
モダリティ
テキストのみ(画像入力なし)
思考
thinking: disabled完全に切れる / reasoning_effort = low / high / max(既定 high)
単価
$0.14 / $0.0028 cached / $0.28
キャッシュ割引
98%(業界標準の 90% を上回る)
ライセンス
MIT・ungated
並列上限
2,500 同時接続(RPM / TPM は非公開)
バージョン固定
不可(公式 API の ID は deepseek-v4-flash のまま中身が差し替わる)
データ方針
公式 API は学習利用あり・プロンプト保持あり・中国サーバ・準拠法は中国法
重みが MIT・ungated なので、K3 の独自ライセンス(MaaS 売上 $20M 超で別途契約)より商用条件は明確に緩い。
軽い側 / 商用

GPT-5.6 Luna

OpenAI · 比較対象として再掲

総パラメータ
非公開
コンテキスト
1,050,000 tokens
最大出力
128,000 tokens
モダリティ
テキスト + 画像
思考
reasoning_effort: none で切れる / 6 段(既定 medium)
単価
$0.20 / $0.02 cached / $1.20
キャッシュ割引
90%(ただし書き込みは入力の 1.25×
ライセンス
クローズド
レート上限
Tier 5 で 30,000 RPM / 180M TPM
バージョン固定
モデル ID 単位(日付スナップショットは非公開)
データ方針
API 経由は既定で学習利用なし
Batch API で 50% 引き($0.10 / $0.60)。DeepSeek 公式 API にはバッチ・Flex 相当のティアが存在しない。

「コスパが上」は本当か — 3 つの指標で検証する

指標GPT-5.6 LunaDeepSeek V4 Flash 0731DeepSeek 優位出所
入力単価(cache miss)$0.20$0.141.43×両社公式
入力単価(cache hit)$0.02$0.00287.14×両社公式
出力単価$1.20$0.284.29×両社公式
3:1 ブレンド単価$0.45$0.1752.57×自前計算
AA ブレンド単価(7:2:1)$0.17$0.062.83×Artificial Analysis
Index 完走の実コスト$190.87$72.022.65×Artificial Analysis
Intelligence Index5150Artificial Analysis
Index 完走の出力トークン130M210M1.62× 冗長Artificial Analysis

答えは 「本当。ただし 2.6 倍前後であって、10 倍でも 18 倍でもない」。 注目すべきは最後の 2 行で、出力単価では 4.29 倍の差がついているのに、実タスクのコスト差は 2.65 倍まで縮んでいる。 DeepSeek が Luna の 1.62 倍の出力トークン(思考トークン込み)を吐くためである。 単価表だけを見て 4 倍安いと見積もると、実運用で 1.6 倍外す。

ただし「思考ゼロ同士」で比べると絵が変わる

上の比較はすべて 両モデルとも最大思考 での測定値である。 しかし軽い側の実運用は「思考を切って分類・ルーティングを回す」モードであり、そこでは別のデータを見る必要がある。

思考オフ時の指標GPT-5.6 LunaDeepSeek V4 Flash含意
AA Intelligence Index2729DeepSeek が +2、ほぼ互角
出力速度168.1 t/s107.2 t/sLuna が 1.57 倍速い
初回応答(TTFT)0.77 s1.24 sLuna が 0.47 秒速い
入力モダリティテキスト + 画像テキストのみ画像パスは Luna 必須
この表の重要な但し書き: Artificial Analysis の DeepSeek 非思考ページはモデル情報を「284B / 2026-04-24 リリース」と記載しており、 0731 版の非思考モードを測ったものではない可能性が高い。0731 のモデルカードにも非思考ベンチは 1 本も載っていない (公開されているのは agent / coding 系 9 本のみ)。したがって「0731 を思考ゼロで回したときの実力」は一次ソースでは不明で、 採用前に自ワークロードで実測するしかない。

つまり 知能は互角、コストは DeepSeek が 2.6 倍有利、レイテンシとスループットは Luna が明確に有利、という三すくみになる。 「対話 UI の裏で走る即応タスク」なら Luna、「非同期に大量を流すバッチ」なら DeepSeek、という切り分けが素直である。

ベンチマーク(思考あり)

ベンチマークV4-Flash-0731V4-Flash PreviewV4-Pro Preview備考
Terminal-Bench 2.182.761.872.1AA の独立計測では 79
Cybergym76.738.752.7
Toolathlon-Verified70.349.755.9
DeepSWE54.47.312.87.4× 改善
NL2Repo54.239.438.5
Agents' Last Exam25.215.816.5
AutomationBench Public25.110.812.8
GDPval-AA v2 (Elo)15591189AA 計測。K3 は 1686
GPQA Diamond91K3 は 93.5
AA-LCR(長文脈)66
Humanity's Last Exam37K3 は 56.0(ツール有)
AA-Omniscience Index-16ハルシネーション率 84%

左 3 列は DeepSeek 自己申告、GDPval 以下は Artificial Analysis 計測。 自己申告の Terminal-Bench 82.7 に対し AA の独立計測は 79 で、3.7 ポイントの乖離がある。ハーネス差の範囲だが、自己申告値をそのまま採用しないこと。

どこでホストするか — データ主権の対価はキャッシュ割引

K3 を Moonshot ではなく Fireworks 経由で叩く理由がデータ主権だったのと同じ問題が、DeepSeek でも起きる。 DeepSeek 公式 API はプロンプトを学習に使い、中国国内サーバに保存し、準拠法は中国法である (プライバシーポリシーと利用規約に明記。学習利用はオプトアウト方式)。 ただし重みが MIT・ungated なので、西側ホストが実在する

ホスト入力キャッシュ出力コンテキスト最大出力データ方針
DeepInfra(US)$0.09$0.018$0.181.05M65,536学習なし・無保持
Fireworks(US)$0.14$0.028$0.281.05M学習なし・無保持
Parasail(US)$0.14$0.07$0.281.00M1,048,576学習なし・無保持
Cloudflare(US)$0.14$0.28384k学習なし・保持あり
SiliconFlow(SG)$0.14$0.281.00M393,216学習なし・無保持
DeepSeek 公式(CN)$0.14$0.0028$0.281.00M384,000学習あり・保持あり・中国法
ここが構成上いちばん重要なトレードオフ。 DeepSeek 公式 API の最大の武器は 98% のキャッシュ割引($0.0028)だが、 西側ホストに移した瞬間にこれは 10〜25 倍高くなる(Fireworks $0.028、Parasail $0.07)。 プロンプトキャッシュを効かせるエージェント用途では、データ主権の対価がそのままキャッシュ割引の放棄になる。 一方 DeepInfra は素の入出力が最安($0.09 / $0.18)なので、キャッシュヒット率が低いワークロードなら西側ホストのほうが安く済む。

なお DeepInfra は Kimi K3 を提供していないが、DeepSeek V4 Flash 0731 は提供している第 1 節の訂正 1 と合わせると、「DeepInfra で軽い側、Fireworks で重い側」という 2 ベンダー構成になる。 1 ベンダーに寄せたいなら Fireworks が両方を持っている(K3 と DeepSeek の両方を配信し、Anthropic 互換エンドポイントもある)。

結論 — 置き換えるか、併用するか

ワークロードが「非同期・大量・テキストのみ」に寄っているなら置き換える価値がある。 ただし以下の 4 つのいずれかに当たるなら、Luna を残すか併用したほうがよい。

どこでホストするか

K3 の単価は ほぼ全プロバイダで $3.00 / $15.00 に張り付いている。重み公開後も値崩れが起きていない。 その理由として、K3 ライセンスの MaaS 条項(年商 $20M 超のホスティング事業者は Moonshot と別途契約)でマージンが薄い点が指摘されている。 結果として選択の軸は価格ではなく、速度・レイテンシ・データ所在・コンテキスト上限になる。

プロバイダ出力速度 (t/s)初回応答 (s)ブレンド単価コンテキスト備考
Wafer (FAST)1721.25$2.311.00M最速
Fireworks1641.13$2.311.05M速度 2 位かつ初動最速。LoRA・US 限定エンドポイント有
Makora1371.39$2.311.05M
Databricks1231.24$2.31205kコンテキストが 1/5 に切り詰め
Modal1041.63$2.311.05M
Nebius831.68$4.201.05M1 社だけ単価が高い
Parasail592.31$2.311.05M
Kimi(Moonshot 一次)353.94$2.311.05M最遅。Tier 0 は 1 並列 / 3 RPM
Together AI331.17$2.311.00M
DigitalOcean312.13$2.311.05M
DeepInfraK3 は未提供(自社ブログで “coming soon”。K2.7-Code / K2.6 / K2.5 のみ、いずれも 256K)。ただし DeepSeek V4 Flash 0731 は最安値で提供している

出力速度・初回応答は Artificial Analysis の Kimi K3 (max) 実測。ブレンド単価は cache-hit : input : output = 7 : 2 : 1 で算出した参考値で、素の $3.00 / $15.00 とは別物。 速度は最速と最遅で 5.5 倍の開きがあり、同じモデル・同じ価格でもホスト選択が体感を支配する。

Fireworks を基準に置く理由

分業の設計

役割分担の原則は 「モデルで分けるのではなく、タスクで分ける」。 判断の分岐点は「思考トークンを払う価値があるか」と「272K を超えるか」の 2 つに集約できる。

入口ルーティング
難易度判定・意図分類 Luna reasoning_effort: none または DeepSeek thinking: disabled。どちらも思考トークンをゼロにできる。K3 は最低でも low の思考が課金されるため、ここに置いてはいけない。
重い処理ここだけ高い
マルチファイル改修 / 長時間エージェント K3 on Fireworks。SWE-Marathon・FrontierSWE で首位を取る領域。
1M コンテキスト読解 K3 は 1M 全域でフラット料金で、BrowseComp 91.2 を 1M・圧縮なしで達成している(K3 の MRCR は未公表)。Luna は MRCR 41.3% で長文脈が使えず 272K 超で 2× 課金になるため、ここには置けない。
フロントエンド生成 Frontend Code Arena で人間ブラインド評価 1 位。
高頻度の補助物量で効く
即応が要る補助 → Luna 対話 UI の裏で走るルーティング・要約。思考オフで 168 t/s・TTFT 0.77 秒と DeepSeek より速い。画像を含むパスは Luna 一択(DeepSeek はテキスト専用)。
非同期・大量 → DeepSeek Flash ログ要約、構造化抽出、テスト選別、候補生成。実タスクコストで Luna の 1/2.65。思考オフの知能は AA Index 29 対 27 でむしろ上。
時間帯で振る DeepSeek 公式 API はピーク時 2× 課金を予告済み(JST 10–13 / 15–19 時)。日中同期は Luna、夜間バッチは DeepSeekが価格上も整合する。西側ホスト経由なら固定価格でこの制約を回避できる。
例外処理フォールバック
エスカレーション K3 が空の tool_calls を返す・拒否される・コンテキストが溢れる場合に上位モデルへ。LiteLLM なら context_window_fallbackscontent_policy_fallbacks を別系統で書く。

削減効果の目安は、Anthropic 公表値で「フロンティア・オーケストレータ + 1 段下のワーカーで、性能 96% をコスト 46% で達成」(BrowseComp)。 OSS の実測では 12 ワーカー構成の監査タスクが、全部フロンティアで $14.50、1 段下のワーカー併用で $6.10(−58%)、最安ワーカーで $3.70(−74%)。 K3 + Luna はこの構造の変種なので、削減率は 46〜74% のレンジで見積もるのが妥当である。

月額コスト計算機

自分のワークロードを入れて比較する。スライダーを動かすと即座に再計算される。 ハイブリッド 2 行は「重い側に回す割合」で入力・出力の両方を按分し、残りをそれぞれ DeepSeek / Luna に流した場合の合計である。

この計算機で確かめてほしいこと: 既定値(重い側 20%)で、軽い側を Luna から DeepSeek に替えても $92.52 → $76.25(−18%)にしかならない。総額の $70.20 が K3 側で消えているからである。 一方「重い側に回す割合」を 20% → 10% に動かすと、それだけで 4 割以上落ちる軽い側で誰を選ぶかより、重い側に流す量をどう減らすかのほうが桁で効く。 軽い側の選定は、価格ではなくレイテンシ・画像対応・データ所在で決めたほうが合理的である。
1 日 500 万トークン × 30 日 = 150M
入力の 10% 程度が典型
安定したシステムプロンプト前提なら 80〜90%
ハイブリッド行のみに影響
計算の前提: ① 単価は 2026-08-01 時点の定価(バッチ・従量割引・コミット割引なし)。 ② キャッシュヒット分はキャッシュ単価、ミス分はキャッシュ書き込み単価で計上する(ヒット率 0% のときのみ素の入力単価)。GPT-5.6 系は入力の 1.25×、Claude Fable 5 は 5 分 TTL で $12.50、Kimi K3・DeepSeek 系は書き込み割増なし。 ③ GPT-5.6 系の >272K 長文脈サーチャージ(入力 2× / 出力 1.5×)は含めていない。272K を超える設計では OpenAI 側の実額が最大 2 倍になる。Kimi K3 と DeepSeek は 1M 全域フラット。 ④ DeepSeek 公式 API のピーク時 2× 課金は未発効なので含めていない。発動すると JST 10–13 / 15–19 時の実額が倍になる。 ⑤ 同じ仕事に必要な出力トークン量はモデルごとに違う。最大思考時の実測で DeepSeek は Luna の 1.62 倍のトークンを吐く(AA Intelligence Index 完走で 210M 対 130M)。この計算機は入力した トークン量をそのまま使うため、思考ありの用途では DeepSeek 側を 1.5〜1.6 倍に見積もっておくと実勢に近い。

実装

Fireworks で K3 を叩く

OpenAI 互換エンドポイント
# base_url と model を差し替えるだけで OpenAI SDK がそのまま通る
from openai import OpenAI

client = OpenAI(
    base_url="https://api.fireworks.ai/inference/v1",
    api_key=os.environ["FIREWORKS_API_KEY"],
)

resp = client.chat.completions.create(
    model="accounts/fireworks/models/kimi-k3",
    messages=[{"role": "user", "content": "..."}],
    # K3 は thinking 常時 ON。low / high / max のみ(none も medium も無い)
    extra_body={"reasoning_effort": "low"},
)

# データ所在を US に固定する場合(+10%)
#   model="accounts/fireworks/routers/kimi-k3-us"
# 高速ルータ
#   model="accounts/fireworks/routers/kimi-k3-fast"

Luna を補助側に置く

思考をゼロにして分類・ルーティングに使う
from openai import OpenAI
client = OpenAI()  # OPENAI_API_KEY

resp = client.responses.create(
    model="gpt-5.6-luna",
    input="この issue を bug / feature / question に分類せよ:\n...",
    # none にすると思考トークンが出ない = 実質入力単価だけで済む
    reasoning={"effort": "none"},
    text={"verbosity": "low"},
    # GPT-5.6 世代はキャッシュを確実に当てるため明示キーが要る
    prompt_cache_key="issue-classifier-v3",
)

DeepSeek V4 Flash を軽い側に置く

西側ホスト(DeepInfra)経由 — データ主権を保ったまま最安
from openai import OpenAI

client = OpenAI(
    base_url="https://api.deepinfra.com/v1/openai",
    api_key=os.environ["DEEPINFRA_API_KEY"],
)

resp = client.chat.completions.create(
    model="deepseek-ai/DeepSeek-V4-Flash-0731",
    messages=[{"role": "user", "content": "..."}],
    # 思考を完全に切る(Luna の reasoning_effort: none 相当)
    extra_body={"thinking": {"type": "disabled"}},
)

# 公式 API(中国)を使う場合。キャッシュ 98% 引きが効くが、
# プロンプトが学習に使われ中国国内サーバに保存される点に注意。
#   base_url="https://api.deepseek.com"   model="deepseek-v4-flash"
# Fireworks に寄せる場合(K3 と同一ベンダー):
#   base_url="https://api.fireworks.ai/inference/v1"
#   model="accounts/fireworks/models/deepseek-v4-flash"
OpenRouter でデータ方針ごとルーティングを縛る
{
  "model": "deepseek/deepseek-v4-flash-0731",
  "provider": {
    // 中国 API へ落ちないようホワイトリストで固定する
    "only": ["deepinfra", "fireworks", "parasail"],
    // これを false にしないと allowlist 外へ迂回しうる
    "allow_fallbacks": false,
    // Zero Data Retention のエンドポイントのみに限定
    "zdr": true,
    "data_collection": "deny"
  }
}

Claude Code から K3 を使う

Moonshot が Anthropic 互換エンドポイントを公式提供しているため、プロキシも fork も不要で環境変数だけで動く。

~/.claude/settings.json の env、または shell の環境変数
ANTHROPIC_BASE_URL="https://api.moonshot.ai/anthropic"
ANTHROPIC_AUTH_TOKEN="$MOONSHOT_API_KEY"
ANTHROPIC_MODEL="kimi-k3[1m]"
ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL="kimi-k3[1m]"
ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL="kimi-k3[1m]"
ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL="kimi-k3[1m]"
CLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODEL="kimi-k3[1m]"
CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOW="1048576"
CLAUDE_CODE_EFFORT_LEVEL="max"

# 注意点
#  - モデル ID は kimi-k3 ではなく kimi-k3[1m](1M コンテキスト版の別 ID)
#  - ANTHROPIC_API_KEY が残っていると AUTH_TOKEN と競合して黙って壊れる。unset すること
#  - 定額の Kimi Code Plan は別ドメイン https://api.kimi.com/coding/v1 で認証変数も別
#  - Anthropic は Claude Code の非 Claude モデルへのルーティングをサポート対象外としている

LiteLLM で二段構成にする

config.yaml — 役割別ルーティングとフォールバック
model_list:
  - model_name: heavy
    litellm_params:
      model: openai/accounts/fireworks/models/kimi-k3
      api_base: https://api.fireworks.ai/inference/v1
      api_key: os.environ/FIREWORKS_API_KEY
  - model_name: light
    litellm_params:
      model: openai/gpt-5.6-luna
      api_key: os.environ/OPENAI_API_KEY
  - model_name: escalate
    litellm_params:
      model: openai/gpt-5.6-sol
      api_key: os.environ/OPENAI_API_KEY

router_settings:
  enable_pre_call_checks: true
  # 通常の失敗時フォールバック
  fallbacks: [{"heavy": ["escalate"]}, {"light": ["heavy"]}]
  # コンテキストが溢れたときだけ長文脈側へ逃がす
  context_window_fallbacks: [{"light": ["heavy"]}]

litellm_settings:
  num_retries: 3
  request_timeout: 600
  allowed_fails: 3
  cooldown_time: 30

OpenRouter でプロバイダを固定する

同じ K3 でも速度が 5.5 倍違うので、プロバイダは明示的に選ぶ
{
  "model": "moonshotai/kimi-k3",
  "provider": {
    "order": ["fireworks"],
    "allow_fallbacks": false,
    // tool calling を必ず効かせたいときの定石
    "require_parameters": true,
    "sort": "throughput"
  }
}
Codex CLI からは直挿しできない。 Codex CLI の wire_apiresponses のみ(公式 config reference が “responses is the only supported value” と明記)。 K3 は Chat Completions しか話さないため、LiteLLM proxy の /v1/responses ブリッジを噛ませる必要がある。 サードパーティの OpenAI 互換バックエンドには use_chat_completions_api: truelitellm_params に付ける。 加えて model_provider / model_providers~/.codex/config.toml(ユーザー階層)でしか効かず、プロジェクト直下の .codex/config.toml では無視される。

落とし穴

DeepInfra に K3 は無い(2026-08-01 時点)

404 + 自社ブログの “coming soon” + Artificial Analysis のプロバイダ表に不在、の 3 点で確定。DeepInfra 上の K3 価格・速度を数値で書いている記事があれば、別プロバイダの値の誤帰属か SEO 記事の捏造を疑うべき。代替は Fireworks、または DeepInfra 上の K2.7-Code($0.74 / $3.50・256K)。

GPT-5.6 の >272K サーチャージは Sol / Terra / Luna 全部に適用される

272K を 1 トークンでも超えると、リクエスト全体が入力 2× / 出力 1.5× になる。「1M コンテキストだからフラット」は Kimi K3 にしか当てはまらない。1M を売りにした構成では OpenAI 側の実コストが最大 2 倍になる。

DeepSeek 公式 API はプロンプトを学習に使い、中国国内サーバに保存する

プライバシーポリシーが「収集した情報を中華人民共和国にある安全なサーバーに保存」と明記し、利用目的に「機械学習モデルのトレーニング」を含む(オプトアウト方式)。利用規約の準拠法も中国法。K3 を Fireworks 経由にしてデータ主権を確保した構成で軽い側だけ公式 API を使うと、回避したはずのものを裏口から入れることになる。DeepInfra / Fireworks / Parasail は学習利用なし・プロンプト無保持なので、そちらを使う。ただし公式 API の 98% キャッシュ割引($0.0028)は失われる(Fireworks $0.028 / Parasail $0.07)。

DeepSeek 公式 API はモデルのバージョンを固定できない

API 上の ID は deepseek-v4-flash のままで、中身が Preview → 0731 と予告なく差し替わった。日付付きの API ID は存在しない。同じプロンプトの挙動が朝と夜で変わりうるので、再現性が要る用途では日付入り ID を持つ西側ホスト(deepseek-ai/DeepSeek-V4-Flash-0731)かセルフホストを選ぶ。

DeepSeek の思考オフは経路によって可否が変わる

OpenAI 互換なら {"thinking":{"type":"disabled"}}、Anthropic 互換なら reasoning.effort: "none" で切れる。しかし Responses API 経路の output_config.effort は low / high / max しかなく、思考を切れない。既定は「思考オン・effort=high」なので、何も指定しないと軽いタスクにも思考トークンが課金される。また tool call を含むマルチターンでは reasoning_content の返送が必須になる(tool call が無ければ不要)。

「DeepSeek は Luna より 10〜18 倍安い」は二重に古い

比較サイトの多くが Luna の旧価格($1.00 / $6.00)と DeepSeek の旧価格($0.10 / $0.20)を両方使っている。2026-08-01 の日付が表示されていても信用しないこと。現行価格での実差は 3:1 ブレンドで 2.57 倍、実タスクコストで 2.65 倍。加えて DeepSeek は Luna の 1.62 倍の出力トークンを吐くため、出力単価の 4.29 倍差は実効で 2.65 倍まで目減りする。

キャッシュ書き込みの課金モデルがベンダー間で違う

GPT-5.6 世代は書き込みが入力の 1.25×(それ以前の世代には無かった)。Claude Fable 5 は 5 分 TTL で 1.25×($12.50)、1 時間 TTL で 2.0×($20.00)。Kimi K3 は書き込み割増なし。「cached input が安い」だけを見た試算はすべて過小になる。

Luna に長文脈を投げてはいけない

MRCR 41.3%(Sol 91.5% / Terra 89.6%)。1,050,000 トークンを受け付けるが拾えない。文書横断・複数ファイル推論は最低でも Terra、素直には K3 に寄せる。AWS Bedrock 版はそもそもコンテキストが 272K に制限されており、Databricks 版は 400K と、チャネルごとに実効コンテキストが 3 段階(1.05M / 400K / 272K)ある。

K3 は思考をゼロにできない

reasoning_effort は low / high / max の 3 段のみで、nonemedium も無い(既定は max)。最も軽い設定でも思考トークンが必ず課金される。これが「分類・ルーティングを K3 に投げてはいけない」技術的根拠であり、Luna 側の none との非対称性が分業の設計理由そのものになっている。

K3 のマルチターンは assistant メッセージを丸ごと返送する

K3 は preserved thinking history モードで訓練されており、API が返した assistant メッセージを reasoning_content を含めてそのまま messages に戻す必要がある。要約・再構築・thinking の削除をすると品質が不安定化する。自作ルータやゲートウェイでメッセージを正規化する実装が最も踏みやすい。

tool_calls が空で返ることがある

vLLM チームが「K3 が自前パーサの想定外フォーマットを吐いて tool_calls が空になるのを時々見ている」と公式に報告している。対策は (1) 自分のスキーマで検証 (2) 空なら再試行 / フォールバック (3) strict または structured tool calling の採用、の 3 点。どの経路を使うにせよ入れておくべき。

Moonshot 一次 API は速度もレート制限もエージェント用途に向かない

出力 35 t/s は 10 プロバイダ中最遅、初回応答 3.94 秒も最遅。Tier 0 は 1 並列 / 3 RPM。「K3 は遅い」と一般化されがちだが、これはホスティング先の関数であって、Fireworks なら 164 t/s(4.7 倍)出る。

K3 のライセンスは OSI 準拠ではない

連続 12 か月の MaaS 売上 $20M 超のホスティング事業者は Moonshot と別途契約が必要。100M MAU 超または月商 $20M 超のプロダクトは UI に「Kimi K3」の表示義務。社内利用と公式・認定パートナー経由は適用除外。この閾値の低さが、第三者プロバイダが $3 / $15 を下回れない一因とも指摘されている。商用採用時は法務確認が必須。

価格の賞味期限が極端に短い

K3 のローンチが 2026-07-16、重み公開が 07-27、Luna / Terra の値下げが 07-30。本ドキュメントの数値はすべて 2026-08-01 時点のスナップショットで、いずれも調査の 2〜16 日前の出来事である。本番のコスト設計に使う前に、発注直前に各社の価格ページを再取得すること。

出典

一次ソース(本ドキュメントの数値はここから取得)

二次ソース(文脈・解説)